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研究内容および組織

ビッグバン宇宙国際研究センター (英語名 RESCEU; Research Center for the Early Universe) は1999年4月、当時の文部省令により、東京大学理学系研究科に設置されました。その前身となったのは、1995年に文部省プログム「COE(卓越した研究拠点)形成基礎研究」に基づき理学系研究科の内部組織として設けられた、「初期宇宙研究センター」です。 RESCEUは国際的かつ総合的な視点に立って初期宇宙の研究を行い、人類が有史以来くり返し問いかけてきた根本的な疑問、すなわち「宇宙はどうして始まり、どのようにして現在の姿になったか」に答えようとしています。この10年間、一般相対論にもとづくビッグバン宇宙の描像に、インフレーション宇宙論の考え(初代センター長の佐藤勝彦名誉教授が提唱)を組み合わせることで、この疑問に対する答えの大筋が見えて来ました。しかし、その筋書きに具体的な肉づけを行う作業は、まだ始まったばかりです。

本センターではこの遠大な目的に向け、宇宙を、「通常の物質」「暗黒物質」「暗黒エネルギー」の三段階に分けて捉えるようにしています。「通常の物質」はこのうち唯一、見たり触れたりできる成分で、宇宙のエネルギー密度のわずか4.5%しか占めませんが、さまざまな密度、温度、原子核組成、また化学組成をとることができるため、宇宙の時間や空間、また天体の進化につれ、多彩に姿を変えます。これら通常物質の挙動を知ることで、背後にある暗黒物質の姿も次第に見えてきます。暗黒物質は宇宙のエネルギー密度の約22%を占め、その正体は、未発見の重い素粒子か、宇宙初期にできたミニブラックホールであろうと考えられています。これら「物質」の背後にある黒幕が暗黒エネルギーで、宇宙のエネルギー密度の73%を占め、宇宙の構造や運命を支配していますが、その真の正体は大きな謎に包まれており、その解明は21世紀の物理学にとって最大の課題の1つと言えるでしょう。

本センターのこうした研究は、こうした研究を具体的には8つのプロジェクトとして進めており、その中には物理法則からトップダウンで出発する理論研究も、世界最先端の実験・観測装置を用いたボトムアップ研究も、含まれています。後者では、電波からガンマ線にわたる広い電磁波に加え、重力波やニュートリノも研究手段となっています。本センターでは、理学系研究科の物理学専攻、天文学専攻、天文学教育研究センターなどに属する約10名の研究者を、「研究協力者」に認定し、これらのプロジェクトの遂行に協力してもらっています。さらにRESCEUには外国人客員教授のポストが1つあり、諸外国の第一線の研究者が交替で滞在しています。

2015年4月
センター長・教授 須藤靖