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PROJECT 5
重力波探査
■重力波によるビッグバン宇宙の探索■
Project5・重力波探査の 図1
DECIGOの基本構成と仕様

- スペース重力波アンテナDECIGO でビッグバン宇宙に挑む -

重力波は、物質に対して強い透過率を持つことから、高エネルギー天体現象の 中心部や初期宇宙など、従来の電磁波観測では見ることができなかった新しい 宇宙の姿を直接私たちに届けてくれる可能性を持っています。重力波の初検出と それによる新しい天文学の創生をめざし、国内で建設が進められている大型低温 重力波望遠鏡KAGRAプロジェクトにおいて中心的な役割を担うとともに、さらに 将来の実現を目指す宇宙重力場望遠鏡DECIGO計画を推進しています。

DECIGO (DECi-hertz Interferometer Gravitational wave Observatory) は、 1000km 離れた3 機のドラッグフリー衛星を用いて宇宙にレーザー干渉計を作り、 0.1 ~ 10 Hz の周波数帯にある重力波を観測しようとする日本の計画です。DECIGO の最大の目的は、ビッグバン直後の宇宙を重力波を通して見ることです。これは 重力波でしか見ることのできない世界であり、重力波観測によって宇宙誕生の謎が 解き明かされることが期待されています。この他のターゲットとしては、宇宙の加速 膨張を詳しく調べることによるダークエネルギーの性質の解明や、巨大質量ブラック ホール同士の合体に伴う重力波観測などがあります。

DECIGOの打ち上げは2027年頃と予想されています。非常に挑戦的な計画 でありこれから克服すべき技術的問題も多いため、私たちは長期的視点にたって DECIGO の開発を進めています。基礎技術開発の一環としてまず、2009 年1 月に 衛星搭載型の小型重力波望遠鏡SWIMμνを打ち上げました。約1年半の運用期間中に 長時間観測運転を行い、背景重力波に対して上限値を与えるなど、当初の予定を超 える成果が挙げられています。現在は次のターゲットである前哨衛星DPF(DECIGO pathfinder)の開発研究を集中的に進めているところです。DPFではDECIGOのため の宇宙実証という目的に加え、実際に重力波や地球重力場の観測を行うことも目的と しています。DPFは、JAXA/ISAS の推進する小型科学衛星シリーズの候補の一つと なっています。

Project5・重力波探査 図2
2009年1月に打ち上げられた小型衛星SWIMμν

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