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PROJECT 2
銀河と星の共進化論
■観測データ解析に基づいた宇宙の創生進化の理論的研究■
Project2・銀河進化理論 図1
銀河が誕生した直後にはガスの中にはH, He, Li, Be, Bしか含まれていなかった。その他の我々が知っているほとんどの元素は星の中で起こる核反応によって合成された。太陽より十倍以上重い星は最後に超新星爆発を起こして、合成した元素を銀河内に放出し、次の世代の星はこれらの元素を含んだガスから誕生した。このような過程をくり返すことで現在の元素組成が作られた。(写真 国立天文台)

宇宙全体を眺めるとき、最も基本的な単位として観測されるのは銀河です。 銀河は、星やガスが暗黒物質ハローの重力で閉じ込められたシステムで、 宇宙誕生後およそ10億年の時代にできはじめ、現在(137億年)までに 様々な銀河が、時には合体成長をしながら進化してきたと考えられています。 銀河の中では星が生まれては死に、重い星が死ぬときは 超新星爆発やガンマ線バーストといった巨大な爆発現象を起こします。 星内部の核融合でつくられた重元素は 超新星爆発などの現象で星間空間に返され、次の世代の星に受け継がれて我々の体を 作る材料になっていきます。

最新の天文観測により、こうした銀河の形成進化が直接見られるようになってきました。 また、超新星やガンマ線バースト、クエーサーなどの明るい天体は 遠方宇宙からでも観測でき、初期の宇宙の物理的な情報を教えてくれます。 一方、私たちの近く、すなわち銀河系内の古い星の表面の元素組成には、 その星が誕生した頃の銀河の情報が刻まれていると考えられています。

このプロジェクトでは、こうした宇宙初期から現在まで連綿と続く 銀河進化のより完全な解明を目的としています。そのために、 様々な最新観測データを、物理法則に基づいた理論的予測と比較しながら、 新たな知見を得るための研究を進めています。