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PROJECT 7
気球観測による反物質探査
衛星によるX線・γ線観測
■飛翔体による観測データを用いた宇宙の研究■

宇宙からのX線・ガンマ線を捉える

宇宙からのX線やガンマ線は大気に吸収されてしまうため、地上からは捉えることができません。 しかし人工衛星などを用いて大気圏外に出ると、ガスを吸い込むブラックホール、高速回転する パルサー、高速で膨張する超新星残骸、銀河団の熱いコロナなどからのX線やガンマ線を捉える ことができ、可視光では得られない貴重な宇宙の姿を知ることができます。私たちは1993年に 打ち上げられた「あすか」衛星に続き、2005年に打ち上げられた「すざく」衛星(図1) に観測装置を載せ、宇宙からのX線および軟ガンマ線を研究しています。

Project7・気球観測による反物質探査、衛星によるX線・γ線観測 図1
図1:M5ロケットによるX線衛星「すざく」の打ち上げ。2005年7月10日、 鹿児島県にある、JAXA内之浦宇宙空間観測所より。

反陽子の観測

地球にはまた宇宙線が降り注いでおり、その中にはわずかながら、宇宙線と星間ガスとの衝突 で作られた高エネルギーの反陽子が含まれています。しかし暗黒物質の対消滅や原始ブラック ホールの蒸発が起きると、より低エネルギーの反陽子が作られると予想されます。

私たちは、超伝導を利用した素粒子検出器を気球に載せ、1993年から反陽子の観測を続けてき ました(図2)。すでに1000個を越す反陽子の検出に成功しており、それらの中に、宇宙線と 星間ガスの衝突で説明できない成分が含まれているか、探索を続けています。

Project7・気球観測による反物質探査、衛星によるX線・γ線観測 図2
図2:反陽子を探査するため、カナダでBESS計画と呼ばれる気球実験が続けられている。素粒子検出器を吊り下げた気球が、まさに地上を離れようとする瞬間。