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PROJECT 4
サブミリ波観測
■優れた観測サイト「富士山山頂」から分子雲の形成を探究■
Project4・サブミリ波観測 図1
サブミリ波望遠鏡 (富士山山頂)

分子雲の炭素原子分布を観測

1998年11月より運用開始した富士山山頂サブミリ波望遠鏡は、わが国で初めてのサブミリ波 (波長が1ミリから0.1ミリの電波)を観測する望遠鏡です。この望遠鏡を用いて、主に炭素原子 が放つ波長0.6ミリ(周波数で492GHz)及び波長0.4ミリ(809GHz)のスペクトル線を観測して います。その結果をもとに、星が誕生する母体である星間分子雲が銀河系の中でどのように 形成されているかを研究しています。

構造解明に世界初の成果

この望遠鏡を使い、地球との距離が最も近い「おうし座分子雲」の炭素原子の分布を、 世界で初めて明らかにしました。

図を見ると、炭素原子が一番多いところが赤く表示され、黄色・緑・青の順に少なくなっている ことがわかります。一酸化炭素分子の分布(等高線)と重ねると、一酸化炭素分子が多い(等高線 がたくさんある)ところには炭素原子は少なく、逆に炭素原子が多いところには一酸化炭素分子 は少なく分布しています。炭素原子は時間をかけて一酸化炭素分子に変わっていくので、「でき てしまった分子雲」は主に一酸化炭素分子で見え、「今まさに分子雲が形成されているところ」 が炭素原子で見えます。

一方、「オリオン巨大分子雲」の観測にも成功。これまで他の望遠鏡で観測してきた10倍以上 の領域を観測することができ、その炭素原子の分布の全貌が初めて明らかになりました。

これらの結果は、巨大分子雲がどのような構造を持っているか、またどのように創られてきたかを 解き明かす上で、大きな手がかりとなっています。

Project4・サブミリ波観測 図2
おうし座分子雲における炭素原子(カラー)と一酸化炭素分子(等高線)分布の比較。
Project4・サブミリ波観測 図3
オリオン巨大分子雲における炭素原子(左)と一酸化炭素分子(右)の分布。

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