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PROJECT 3
可視光近赤外観測
■多波長モニター観測を軸に、宇宙年齢を探るMAGNUMプロジェクト■
Project3・可視光近赤外観測 図1
マグナム望遠鏡 (ハワイ州マウイ島ハレアカラ山山頂)

クエーサーの光度測定に高い精度

可視光近赤外観測「MAGNUMプロジェクト」は、気流の乱れや大気に不純物の少ない米マウイ島 ハレアカラ山山頂(3,055m)に口径2mの望遠鏡を設置し、超新星やクエーサー(準星)を長期間 にわたってモニター観測するプロジェクトです。2000年8月21日にファーストライトに成功しました。

宇宙年齢を知るには、より遠くの銀河を観測し、地球とその銀河までの距離を正確に測定すること が決め手になります。現在最も信頼性の高い距離の測定法は、地球から百数十億光年先にある 超新星やクエーサーといった周期的に明るさが変わる天体を利用する方法です。その天体の光度を 測り、天体の実際の明るさと見かけの明るさを比較して距離を求めます。

長期間観測を実現する最新設備

MAGNUMプロジェクトは「活動銀河核の多波長モニター観測」という、これまで考案されていない 新しい手法で距離の決定を試みます。そのメカニズムは、クエーサーの中心核から発する紫外線 (UV)がダスト層(T〜1500K)に達し、赤外線(NIR)を発するまでの時間の変化(Δt)を 測定し、「紫外線絶対光度」を評価。みかけの光度と絶対光度との比較から距離(dL)を決定す るものです。多波長モニター観測は、紫外線から近赤外線までの広い波長をしかも長期間観測でき るという点で、従来になかった観測技術でした。

天文台では、リアルタイム観測スケジューリングシステムなどの最新の装置・システムを導入し、 人の判断を必要としない完全自動観測を実現しています。

Project3・可視光近赤外観測 図2