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PROJECT 1
初期宇宙進化論
■基本法則に基づいた宇宙の創生進化の理論的研究■
Project1・初期宇宙進化論 図1

インフレーション宇宙モデル

宇宙がどのようにして生まれ、進化し、現在の姿になったかという宇宙論における究極の問題に 対して、最新の物理理論の基本法則を用いて理論的に明らかにしようというのがこのプロジェク トです。

宇宙の創生には重力の量子効果が本質的な役割を果たすと考えられています。また、誕生直後 の宇宙は地球上ではとうてい実現できないようなエネルギーの高い状態にあります。そうした状況 下では様々な素粒子の相互作用が宇宙の進化を決定する上で大変重要な役割を果たします。例えば 素粒子の真空のエネルギーは、宇宙の急激な膨張(インフレーション)を引き起こしたと考えられ ています。インフレーション宇宙モデルによれば、宇宙が急激に膨張した後、真空のエネルギーが 解放され、高温のプラズマ状態が作られ、標準ビッグバン宇宙モデルで期待される熱い宇宙が実現 されることになります。さらにインフレーション宇宙では真空の量子ゆらぎを基に密度ゆらぎが生 成され、それが成長し現在の宇宙の構造を作ったと考えることができます。

明らかになる宇宙初期の姿

このように、宇宙をその誕生から理解するためには素粒子物理の理解が不可欠になるわけですが、 最近の宇宙・素粒子の両分野の理論的発展に伴って初期宇宙の理解は飛躍的に深まりつつあります。 また一方で、初期宇宙で起きたインフレーションや元素合成等が現在の宇宙の構造などにどのよう な影響をもたらすか、それが宇宙背景放射や銀河分布などの観測を通して検証できるかといったこ とを調べるのもこのプロジェクトの重要な役目です。宇宙のごく初期で起こる物理過程を現在の 宇宙の観測から確かめることは容易ではありませんが、最近では大望遠鏡や人工衛星を使った観 測によって宇宙の初期の姿が次第に明らかになって、宇宙の創生・進化に関する理論的研究が間 接的ですが検証できるようになりました。