「解析力学」講義情報
(2021年度後期教養学部出講理学部物理学科) 1月29日更新
担当 横山順一(ビッグバン宇宙国際研究センター・理学部物理学教室)
新型コロナウイルス対策として、この講義は、2021年度後期に開講される物理学科の他の講義と同様、ウェブ会議システムを用いたリモート講義の形式で行うことになりました。
リモート講義ののURLはUTAS及びITC-LMSに9月15日に掲載済です。
問合せはこのメールアドレスまでご連絡ください。
講義はオンラインで行いますが、ノートが取れるように板書を用いた講義と同じスピードになるよう、ゆっくりと進みます。
情報通信技術の発達した現代にあっても、最後の段階、つまりアタマの中に定着させるためには、手を動かして紙と鉛筆で纏めていく、という操作がどうしても有用だと思うからです。講義資料は特に公開しませんが、ネット接続等の問題によりノートを取りきれなかった場合は、当該箇所をご連絡いただければ善処します。直接面談をご希望の方は上記メールアドレスまでご連絡ください。
試験結果と追試験の実施と評点法について
12月20日 期末試験の採点が終わり、評点を計算しました。まず、中間試験と期末試験を無断で欠席した人は履修放棄と考え未受験の扱いとし、単位は付与しません。追試験の受験資格も付与しません。試験を受けて合格点に達しなかった人にはITC-LMSの個別連絡機能により、追試の実施について既に連絡してあります。なお、物理学科に進学内定している人については、期末試験を提出した人は全員合格しています。
大学入試共通テストの準備にともなう休講時間を利用して1月14日に追試を行いました。受験した人は全員合格したので、追試験の実施はこの一回のみで終了です。成績の評点は以下の方法で100点満点に換算して行いました。まず、中間試験と期末試験の合計点に基づいて各履修者の順位付けを行います。同様に期末試験の結果のみに基づいた順位も求めます。そして、各履修者毎に高位であった方の順位をその人の序列とします。序列1位の人5名に100点を付し、序列30パーセントに相当した人(34位5名)に81点を付します。優3割ルールを適用しているので、ここまでが優または優上です。この間は序列が下がる毎に点数も1点ないし2点下がっていきます。それ以下は期末試験での合否を絶対評価で決定し、合格と判定された人の最低序列の点数を51点とします。ここから序列が上がる毎に1点ないし2点を加えていき、序列39位の人(10人)が79点となるように評点をつけます。39位は34位の次の序列です。私は優と良の間には明確な差があることを示すため、80点はつけないことにしています。期末試験で不合格となり、追試に合格した人の評点は規定通り50点です。
連絡と注意と補遺
9月15日 zoomのURLを公開
オンライン講義で配信する内容を中継・転送・録画・共有してはいけません。
こうした二次使用には、教育用・授業用に認められている著作権法上の例外措置が適用されず、問題が生じるからです。
「マッハ力学」についての拙文をご覧下さい。
マッハによる質量概念の説明
10月11日 ITC-LMSに本日の課題を出しました。締切は16日です。
10月12日 ご要望に応じて講義録のスケルトン版を公開することにしました。
ときどきアップデートされます。現在10月30日版を公開中です。
もともと予定していた内容は全てカバーされていますが、今後まだ更新される可能性もあります。
10月20日 TAの内田くん作成による§11.5の補足をITC-LMS上で公開しています。
11月7日 補遺のスケルトン版を公開しました。11月8日の講義で使用します。
期末試験に関する連絡
1 この科目は理学部物理学科の必修科目であり、量子力学など物理学科のその後の科目を習得するためには、必ず身につけなければならない内容が含まれています。よって、物理学科進学予定者全員が合格するまで追試験等を行います。
2 試験はオンラインで11月15日の講義の時間に、講義が終わり次第行います。試験の出題範囲は11月8日の講義までとします。実施要領は中間試験とほぼ同様で、ITCLMSのテスト機能を使った試験と、通常の筆記試験を併用します。オンライン試験で偵察できないので自筆のノート等は参照して結構です。答案は紙に書いたものをスキャンするか写真を撮るのでも良いし、タブレットに書いたものを提出するのでも結構です。通常の筆記試験の方の問題は事前にITCLMSからダウンロードできるよう準備します。パスワードは試験開始時にお知らせします。ビデオをオンにして受験すること。
3 11月1日の講義終盤にオンライン期末試験の練習のための中間試験を行います。解答用紙を数枚用意しておいて下さい。提出はITC-LMSによって行っていただきます。試験範囲は§11までとします。オンライン試験で偵察出来ないので自筆のノート等は参照して結構です。答案は紙に書いたものをスキャンするか写真を撮るのでも良いし、タブレットに書いたものを提出するのでも結構です。試験問題は既にITCLMSからダウンロードできます。パスワードは試験開始時にお知らせします。
4 期末試験は11月15日に終了しました。
講義予定と実施状況
10月4日の講義
第0部 序 論
§0 力学とは何か
§1 ニュートンの古典力学
§2 力学のこれまでとこれから 本講義の解析力学では基本的に保存力場のみ扱い、散逸(摩擦)のある場合は考えません。
§3 ベクトルとスカラー ベクトルとスカラーの違いは座標変換に対する変換性の違いです。
§4 仮想仕事の原理・ダランベールの原理 これらはニュートンの運動の法則を超えるものではありません。
第1部 ラグランジュ形式
§5 ラグランジアンの導出
10月11日の講義
§5 ラグランジアンの導出 続き
§6 運動を解くということの別の見方 世界線の導入(相対論では重要になります)。
§7 汎関数と変分法
§7.1 汎関数 本講義では数学的な厳密性は問いません。
§7.2 変分法
§7.3 汎関数微分
§8 最小作用の原理
§8.1 作用汎関数 基礎物理学では理論を定義することは作用を定義するということとほぼ同じです。
§8.2 最小作用の原理 この原理に神学的な意義を見いだしてはいけません。
§9 オイラーラグランジュ方程式の共変性 共変性と不変性の違いに注意しましょう。(4年次に一般相対論を受講するとこのあたりの理解が深まります。)
10月18日の講義
§10 拘束条件の下での運動
§10.1 拘束条件
§10.2 ラグランジュの未定乗数法
§10.3 多数の拘束があるとき
§11 対称性と保存則 保存則の陰に対称性あり
§11.1 運動の積分
§11.2 運動量保存則
§11.3 エネルギー保存則
§11.4 空間の等方性と角運動量保存則
§11.5 ネーターの定理
第2部 ハミルトン形式
§12 ハミルトンの正準方程式
§13 ルジャンドル変換 各点における無限小変換さえ定義されれば、対象空間全域における変換が決まります
10月25日の講義
§14 変分法による正準方程式の導出
§15 正準変換 ここまで来ると位置や運動量という意味さえ失われます
§15.1 一般の正準変換
§15.2無限小正準変換
運動量は座標の並進を、ハミルトニアンは時間の並進を誘引します
§16 ポアソンの括弧式 量子化する時に大切になります
§16.1 時間微分とポアソン括弧式
§16.2 ポアソン括弧式の諸性質
§16.3 ヤコビの恒等式 一般的な考察をする方が具体的な問題より見通しが良くなることもあるという例
11月1日の講義
§16.4 運動の積分とポアソン括弧式
§16.5 正準変換に対する不変性 量子力学に翻訳される
§17 位相空間とリュービルの定理 統計力学で重要
§18 終点座標の関数としての作用とハミルトンヤコビ方程式
§18.1 終点座標の関数としての作用
§18.2 ハミルトンヤコビ方程式 中間試験を実施(TuesdayWeld)
11月8日の講義
§18.2 ハミルトンヤコビ方程式 量子力学で再会します
第3部 展 開
§19 電磁場中の荷電粒子の運動 ←試験に出る。 ヘビサイド単位系をよく勉強しておいてください
§20 断熱不変量
§A 補遺
§A1 剛体
§A2 基底ベクトルによるベクトルの展開
§A3 オイラー角
§A4 独楽の運動 ラグランジアンまで導出したので、その運動は期末試験で議論してください。
11月15日の講義
§21 自然法則はなぜ時間二階微分方程式で表されるか
§22 大団円 古典力学はなぜ最小作用の原理に従うか
期末試験を実施 ITC-LMSのテスト2問 筆記試験5問(ErnestBorg9)
解析力学の講義は全て終わりました。1ヶ月半という短い間でしたがお付き合いいただき
まことにありがとうございました。
次の量子力学に関しては、朝永振一郎「量子力学I, II」(みすず書房)を通読されることを
強く勧めます。これはわが国が世界に誇る名著です。ついでに、物理数学については、
共立出版の「詳解 物理応用数学演習」をお薦めします。今でもときどき使っています。
また、久保亮五「大学演習熱学統計力学」(裳華房)も英訳があるような名著です。