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硬X線を放出する原始星の観測

X線衛星「あすか」によってX線放射が検出されている へびつかい座の低質量原始星(EL29, IRS44, WL6, WL10)をCO分子線で観測した。 原始星のX線放射は、分子雲の電離状態を変化させ、 星形成率を左右することから、星形成の研究において X線放射現象の理解は不可欠である。 分子流の観測はハワイ島のCSO 10m鏡と野辺山45m鏡をもちいておこない、 4天体から分子流を検出した。 これらの分子流は、青方成分と赤方成分の分布が重なっている割合が おおきいことから、視線方向と分子流の軸の傾きが小さい (i<30度) pole-onの 形状である。 このことは原始星の極近傍からX線が放射されており、 X線は原始星の周りのガスディスクは透過できないという描像と一致する (図2)。

 
Figure 2: Schematic diagram of a X-ray emitting low-mass protostar.

また、EL29とIRS44について、 野辺山10m-6素子干渉計をもちいてガスディスクの観測をおこない、 周りの分子雲に対して相対速度(1 km/s)を もつガスディスクが存在することを明かにした。 このことはT-Tauri型星の分子雲からの散逸の原因をとなる 固有運動が、原始星の段階から始まっている証拠となる。 さらに、星の質量によるX線放射の違いを調べるために、 巨大分子雲オリオン座やNGC6334における分子流探索や 「あすか」によるX線観測をおこなっている。



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1997年10月02日 21時14分18秒