富士山頂サブミリ波望遠鏡は、わが国ではじめてのサブミリ波(波長が1ミリから0.1ミリの電波)を観測する望遠鏡です。白いドームはサブミリ波を通す素材で作られていて、中に口径1.2メートルの望遠鏡が格納されています。この望遠鏡を用いて、私たちはおもに炭素原子が放つ波長0.6ミリ(周波数で492GHz)および波長0.4ミリ(周波数で809GHz)のスペクトル線を観測しています。その結果をもとに、星が誕生する母体である星間分子雲が、銀河系の中でどのように形成されているかを研究しています。小さな観測装置ですが、富士山頂のすばらしい観測条件のおかげで、世界が注目する成果を挙げています。この研究は国立天文台野辺山観測所や宇宙開発事業団などの研究者との共同研究です。

 

望遠鏡の中はどうなっているの?

(1)レドーム(ゴアテックス)
望遠鏡を風雪から守るためレドームに格納されています。

(2)超伝導受信機(809/492/350GHz)
微弱なサブミリ波を検出するために、絶対温度4Kまで冷却した超伝導受信機が使われています。

サブミリ波望遠鏡の内部
国立天文台野辺山観測所で作られたSISミクサー素子を用いています。

(3)下部機器室
望遠鏡制御のための多数の機器が収められています。

(4)衛星通信アンテナ
この望遠鏡の特徴は衛星通信を利用した遠隔制御による無人運用です。