望遠鏡の運用

観測サイト

私たちはこの可搬型18cmサブミリ波望遠鏡を、大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)の建設予定地である、南米チリのアタカマ高地パンパラボラ(標高4800m)に移設し、観測を行っています。この場所は、国立天文台主導のサイト調査によって優良なサブミリ波観測サイトである事が示されています。

国立天文台ASTEコンテナ脇に設置された可搬型18cmサブミリ波望遠鏡

設置・調整

可搬型とはいえ、総重量は200kg近くありますので、望遠鏡は分解して4つのコンテナに分けて観測地へと輸送します。そして観測サイトで再び組み立て、10日間ほどかけて入念に機器調整を行った後、おもむろに観測を開始します。

分光計調整中の亀谷和久君
太陽を使って指向性調整中の林田将明君

望遠鏡の組み上げ・調整は高地での作業となるので、作業者は常に自分自身の体調に対して細心の注意が必要です。サイトでの作業は一日8時間以内を厳守し、ムダな運動は控えねばなりません。また低高度における日頃の体調管理が、高地作業中の明暗を分ける事もあります。

体調管理に失敗、酸欠状態の池田正史君

観測

観測はコンテナ内部の設置した制御計算機から行います。周波数2GHzの受信機IF出力は、+30dB(1000倍)増幅されたのちにケーブルを介してコンテナ内のIF増幅器系へと導かれます。そこで信号は+66dB(約400万倍)の増幅を受けた後、分光計の適正レベルまで減衰されて音響光学型分光計へと導入されます。その分光計出力はデータ積分器で積分されて、随時制御計算機へと取り込まれ、一次処理を経た後にハードディスク上に保存されていきます。

観測中の可搬型18cmサブミリ波望遠鏡