next up previous contents
Next: 局部発振器(LO)、Phase Lock 回路(PLL)の遠隔制御化 Up: 装置の改善・開発 Previous: 装置の改善・開発

受信機システムの開発

富士山頂サブミリ波望遠鏡に搭載した受信機システムの設計、製作を行った。 受信機はヘテロダイン方式を採用し、 ミキサーには国立天文台野辺山で作られたSIS超伝導素子を使用している。 受信機の冷却には、遠隔制御に適した無調整のGM2段式4K冷凍機 (4 Kステージでの冷凍能力0.3 W、消費電力2 kW)を使っている。 ミキサーは4 K-stageに、中間周波の増幅のためのHEMTアンプは、 40 K-stageに取り付けた。

観測周波数は、低温グリッドと光学系を利用して 準光学的に偏波を分離することで、345 GHz帯と492 GHz帯で 同時受信可能となっている。 特に492 GHz帯では、2個のミキサーを用い位相をずらして局部発振波を混合する方式 を採用することにより、サブミリ波帯での準光学的SSBミキサーを実現した。 望遠鏡のシステム雑音は一般に受信機雑音に比例し、 積分時間の1/2乗に反比例するため、観測効率を高めるためには、 受信機雑音温度下げることが本質的である。 そのため、cold headへの熱流入の低減、 素子の性能評価・交換などを繰り返して受信機を組み上げた。 現段階では、受信機雑音は345 GHzで118 K(DSB)、492 GHzで138 K(DSB) という実用的な値を達成している[13]。

本受信機システムはリモートで運用する。 従って調整箇所を最小限におさえるため、 ミキサーのジョセフソン電流の抑制には永久磁石を使い、 バックショートは無調整のものにした。 さらに受信機とその周辺部の環境をモニターできるようにし、 停電・復電といった非常時対策を施した。

今後は、CI(P-P, 809 GHz)輝線も含めた3周波で観測できるように、 現在809 GHz帯の受信機の開発を進めている。同時に、345・492GHz帯 の受信機の性能向上を図る予定である。



Yamamoto Group Account
Tue Aug 10 15:16:06 JST 1999