next up previous
Next: 星間分子雲・原始星の観測的研究 Up: サブミリ波望遠鏡の開発 Previous: 富士山頂サブミリ波望遠鏡

可搬型小口径サブミリ波望遠鏡による492GHz大気透過度測定

中性炭素原子スペクトル線(492 GHz)の銀河面広域分布の観測や 新しいサブミリ波観測サイトの開拓のために、 可搬型・小口径サブミリ波望遠鏡を開発している。 アンテナは口径18 cmのオフセットパラボラ鏡で、受信機は小型スターリング冷凍機で80 Kに冷却した低雑音ショットキーバリアダイオードミキサー (DSB雑音温度1200K)を搭載している。 望遠鏡システムの総重量は160 kg程度で2--3人による運用が可能である [18]。

次期大型ミリ波サブミリ波干渉計(LMSA)の建設予定地の一つであるチリの アタカマ砂漠のパンパ・ラ・ボラ(標高4800m)にて、 1996年7月21-23日に492GHzの大気透過率の測定をおこなった。 光学的厚み()は0.6 - 2.0という値が得られ、 このサイトがサブミリ波観測に適していることが明かになった[16]。

また、富士山頂において、 1996年10月10日から15日にかけて計4日間にわたり、 富士山測候所の協力を得て、492 GHzでの大気透過率の測定をおこなった。 その結果、天頂方向の光学的厚み()が0.5 - 2.0という 非常に良い値が得られた。 過去におこなった2年間にわたる220 GHzでの測定の結果によると、 富士山頂の大気透過度は、1,2,12,11,3,10月の順である。 よって冬季の富士山頂では中性炭素原子線(492GHz)の観測が充分に可能である ことが示された[19]。



Yamamoto Group Account
1997年10月02日 21時14分18秒