富士山頂における220GHz大気透過度測定

富士山頂のサブミリ波の大気透過度を調べるために、 レドーム付き220GHzラジオメータを 設計・製作した。 本装置は、口径8 cmのアンテナの焦点に常温ショットキーバリアミキサ 受信機をおいたラジオメータを、ゴアテックスメンブレンの窓をもつ レドーム(#tex2html_wrap_inline270# cm#tex2html_wrap_inline272#)に格納している。 富士山測候所庁の協力により1994年11月に山頂に設置し、1年間自動測定した [#sekimoto96##1#]。 富士山頂の冬季における220 GHzの光学的厚みが0.06以下の割合は全時間の 約45 であった。とくに1月は60もの時間でサブミリ波が観測可能となる。 これは冬季の富士山頂が、世界的にみてもサブミリ波観測に適した好サイトであることを示す。 1994/95年と過去3年間の水蒸気圧を比較し、 1994/1995年の大気透過度は過去と同様な分布であると推測した。 富士山頂での大気透過度は昼夜の変化が少ないのが特徴である。 ハワイ島のマウナケア山では昼夜の変化が大きく、 昼間は観測をおこなっていない。 富士山頂では昼夜の連続観測が可能である。 観測条件のよい1月は、 銀河中心が昼に南中することから、昼間に観測ができるメリットはおおきい。 夏季における220 GHzでの光学的厚みは冬の約5倍に相当する ため、345 GHz帯の観測が中心となる。 レドームに付着した氷や雪はサブミリ波を吸収するため、 望遠鏡を遠隔制御で運用するためには、着氷・着雪対策が必須である。 対策として、突起物のない平坦な構造であることと、 雪が付着する前に熱をメンブレンの表面より放出する。 小型レドーム実験ではゴアテックス表面に0.65 kW m#tex2html_wrap_inline274#の熱量 をつかい、また、金属面には 0.95 kW m#tex2html_wrap_inline276#の熱量をもちいた結果、 雪が降ると付着するが、晴れればすぐに観測が可能になった[#sekimoto96##1#]。 直径2.92mのレドームの上半分の面積は13.4 m#tex2html_wrap_inline278#であり、着氷着雪を防ぐには 9 kW (0.65 kW m#tex2html_wrap_inline280#)の熱量をメンブレンの表面より放出すれば充分である。 冷凍機などの観測装置からの排熱を効率よくレドームから逃がすとともに、 赤外線ランプによる加熱を予定している。